個人で起業をしようと考えている人は、自分の経験・知識などを体系的に編成して、コンサルティング業から始めると大きな失敗をしないで成功に近づきます。
コンサルタントをビジネスドメインにすることは、以下のメリットがあるので、副業でも始めやすいです。
個人起業でコンサルタントのメリット
日本政策金融公庫総合研究所主席研究員である村上義昭氏による論文「副業起業は失敗のリスクを小さくする―「起業と起業意識に関する調査」(2016年度)より―」によると、各年代の起業していない理由の第一位が、「自己資金が不足している」。
また理由の第二位は「失敗したときのリスクが大きい」です。
この論文から見ると、お金と失敗のリスクが起業に二の足を踏む要因となっています。
つまり、起業アイデアも起業しない理由の3番目には上がっていますが、お金と失敗のリスクを回避できる起業であれば副業からでも自分のビジネスを始めるという事を示しています。
個人起業のビジネスドメインとしてコンサルタント業が成功しやすいというのは、まさにこうした起業しない理由に対するカウンタープロポーザルとなる以下のメリットがあるからです。
固定費がかからない
起業にあたりやってはいけない事のひとつに、無駄な固定費を作らないというのがあります。
コンサルタント業を始めるに当たって、最初からお客さんがたくさんいない場合は、事務所なんて必要ありません。
せいぜいレンタルオフィスを借りて、会社住所として登記するために固定費として支出するくらいです。
最初に立派な事務所を借りて、机や応接セットなどのオフィス什器にお金をかけるのは資金流出の最たるものです。
個人で小さく始める副業・起業であれば、自宅オフィスとして固定費を最小限にすれば、資金の問題は解決されます。
また、コンサルタントをするには、せいぜい書籍代やインターネットの接続などの固定がかかるくらいで、初期投資もパソコンを買うなどで終わります。
固定費を極限まで小さくして起業できるので、資金については心配がほぼありません。
もっとも、早くに顧客を獲得するには広告を鬱必要があるので、大切な資金は広告に投入するようにしましょう。
経験・知識が活用できる
コンサルタント業は、知識産業です。
自分の過去に得た知識や経験、体験を体系的にまとめて商品化し、それを欲している人に対してその商品を提供する事でビジネス化します。
新しく知識やスキルの修得をゼロから始める必要はなく、体系化する時間は多少かかりますが、それとて数ヶ月もあれば需要に応じた商品を作り出す事は可能です。
以前、ウェブ記事で読んだ事例ですが、定年退職した職人さんが包丁の研ぎ方を周りの人に教えて好評を得たことで月15万円ほどの収入になったとありました。
今ではオンラインも活用して包丁の研ぎ方を教えて、海外と日本を往復しながら生活しているそうです。
これも立派なコンサル業です。
他にも、ストアカやUdemyでは、知識をまとめて講義にしたり、動画にして販売していますし、クラウドソーシングでは自分のスキルとそれを必要とする企業のマッチングができます。
今ではコンサル業で起業するのは、昔ほど集客という意味ではハードルは低くなっています。
その分、参入障壁は低いので競合がひしめくレッドオーシャンになりがちですが、自分の強みをはっきりと打ち出して他社との差別化に成功すれば仕事を取る事は難しくありません。
P. F. ドラッカーは「起業家とは,秩序を破壊し解体する者である。」と述べています。
既存の知識やスキルで構築された秩序を、自分のアイデアを加えた上で革新的な商品として展開して、現有の秩序を破壊することでビジネスを取っていくと解釈できます。
在庫がいらない
在庫というのはとっても厄介です。
資金を在庫に変えて、在庫を販売する事で現金を得て、また在庫を抱えて販売して、資金を回す事で利益を出していきます。
うまく資金が回っている間はなんら問題ありませんが、売れる保証がない在庫を抱えると、投入した資金が回収できず、お金が尽きてビジネスがストップします。
在庫を借入金で賄った場合は、返済不能となり倒産となります。
コンサル業は知識産業ですから、在庫はありません。
書籍やDVDを作ったとしても、高が知れていますし、今はオンデマンドで作成もできます。
また動画配信ができる学習プラットフォームもありますから、コンテンツを作り上げたらそれ以上の資金は必要ありません。
在庫がいらないというのは、ビジネスをやっている人から見ると鉄板の成功要因です。
もちろん、販売業を選択すれば、在庫リスクというのは出てきます。
スモールスタート起業においては、そもそもスキル・経験・知識での起業がメインですから、在庫フリーでリスクを最低限にできます。
ビジネスドメイン次第で成功か失敗かが分かれる
スモールスタート起業・副業においては、どんなビジネスドメインにするかどうかで成功か失敗か分かれます。
開発を伴うIT関連ビジネスであれば、そもそも資金調達が必要な事からスモールスタートではありません。
会社員などのサラリーマンが将来の独立起業を目指してスタートするのが、スモールスタート起業・副業ですから、資金が少なく始められるビジネスドメインを選択するべきです。
小さく始められるビジネスドメインであれば、仮に失敗したとしてもダメージは高が知れています。
ある一定期間頑張ったけど、お客さんが思うように集まらなくて辞めてしまった、程度の失敗です。
小さく始める事のメリット
ビジネスを小さく始めるメリットは、以下があります。
- 試行錯誤できる
- 大きな資金が必要ない
- 失敗しても再チャレンジがすぐできる
小さく始めれば、途中の業態変更や方向転換は簡単にできます。
試行錯誤がやりやすいのが大きな特徴です。
大きく始めると、撤退の判断がつきにくくなります。
それまでに資金と時間を投入してきているので、今辞めたら全てが無駄になる、という心理が働きます。
株式投資の損切りと同じ心理状態といえば分かるでしょうか?!
資金投入がたかだか数十万円であれば、失敗したとしても重く考える必要はありません。
確かにお金を損したら誰だってイヤな気持ちになりますが、貴重な経験をしたと思えば、自己投資のようなモノです。
経験をひとつ積んで、成功に近づいたと思う事が何よりも大切だと思います。
集客をどうするのかに集中する
お金は極力集客の手段に投資するようにしましょう。
起業して失敗するのは、結局は集客ができないからです。
無料で集客できますよ、SNSを使えば無料ですよ、とよくウェブサイトでも書かれています。
ウソではないと思いますが、それには数ヶ月という媒体を育てる時間が折り込まれていません。
今月末までにキャッシュが欲しい、という状態は誰にでもあります。
もし早くにキャッシュをつかみたいのであれば、広告へ投資するのが一番の近道です。
キーワード広告やFacebook広告など、ネット広告を使う事で最短の時間で見込み客にリーチできます。
差別化、ポジショニングで独自性のあるコンサルタントになる
コンサルタントになるには、雨後の筍のように無尽蔵に湧いてくる競合者とは違う特色を出さなければなりません。
選ばれるコンサルというのは、特色のある人です。
ここで市場分析から競合研究までのマーケティングリサーチ能力が必要となります。
分析するにはフレームワークも必要です。
せめて、3C分析やSWOT分析などはマスターしておきましょう。
強烈な差別化は、強いビジネスを作る上で必須の要素となります。
こちらの記事を参考にして下さい。
まとめ
個人起業でビジネスをしようとするのであれば、以下のメリットでコンサルタントがひとつの選択肢になります。
- 固定費がかからない
- 今までの経験・知識が活用できる
- 在庫リスクがない
また、ビジネスは最初から大きくせずに、小さく始める事で費用を最小化できます。
集客をどうしていくのか、そこに経営資源や時間を投入して、仕組みを作っていく事が成功への道のりになります。
また、差別化による独自のポジションを築く事で、他社との違いを打ち出せて、唯一無二のコンサルになると経営も安定します。