商品の開発で考えるべき戦略は、プロダクトアウトとマーケットインがあります。
どちらを選択するのかは、ビジネスのリソースによって考えるべきとなります。
まずはそれぞれの定義について説明します。
そのあとで、副業や個人起業でどちらを選択すべきか述べていきます。
プロダクトアウトとは?
プロダクトアウトは、商品を先に用意してマーケティングを行っていくことを差します。
企業(個人)が作りたいものがあって、それをリリースします。
こういった商品・サービスを作りたいという思いが先行する商品戦略です。
商品ありきといっても、消費者のニーズを無視しているわけではありません。
開発段階においては、消費者ニーズを加味しながら、自社の経験や特性に応じてニーズに応えるように商品を作ります。
過去の大量生産大量消費時代では、消費欲が旺盛だったためにプロダクトアウトが主流でした。
メリット・デメリットは?
メリットとしては、自社のリソースを効率のよい商品作りが出来ます。
リソースとは、経験、ユーザーデータ、商品力、生産力、企画力などです。
理論的には、自社の強み(リソース)を活用するため、利潤の最大化が望めます。
また、プロダクトアウトはユーザーのニーズから商品開発が出発しているわけではないので、リサーチのコストが下げられます。
デメリットは、商品・サービスをリリースするまでは売れるかどうかが分からないこと。
もちろん、大企業の場合はリリースまでの段階で、マーケティングリサーチをしていると思います。
テストマーケティングで消費者に商品・サービスを使ってもらって、ヒットの精度を上げています。
それでもプロダクトアウトの場合は、ヒットするかどうかは、どうしても販売するまでは分かりません。
また想定していた市場がなかった場合には、自社で市場を作っていかなくてはなりません。
市場を作るコストは、セールスプロモーションなどのコストがかかります。
また市場を育てるための時間もかかります。
つまり、資金力がなければプロダクトアウト戦略はなかなか採りづらいということになります。
プロダクトアウトの事例は?
有名な所では、Appleです。
iPhoneもMachintoshも、「将来の生活をこう変える」という思いを最先端の技術で実現させています。
将来のライフスタイルやコンピューティングがどうなるかは、現有ユーザーや消費者に聞いても分からないでしょう。
ニーズのリサーチでは、将来あるべき姿までは分かりません。
Appleはプロダクトアウトでマーケットを造っています。
Appleだからこそできる、とは言いすぎかもしれませんが、究極のプロダクトアウト企業です。
マーケットインとは?
マーケットインとは、消費者のニーズありきで商品・サービスを作ってリリースすることを差します。
ニーズが細分化している現代の市場では、多品種少量生産で細かく分かれているセグメントを占有していく必要があります。
近接するセグメントにおいても、同様に微妙に違った商品・サービスをリリースして、そのセグメントを占有していき、マーケット全体を押さえていくドミナント戦略で利潤の最大化をしていきます。
セグメントが細分化されているということは、個々のセグメントの規模は大きくないということです。
そのため、大量生産で商品をリリースすると量産効果が得られずにコストが高くなります。
規模を追求しないビジネスモデルであれば、オーダーメイドが究極のマーケットインとなります。
セミオーダーの製品も、マーケットインのビジネスモデルで、且つセグメントを広汎にカバーできる販売戦略です。
メリット・デメリットは?
マーケットインのメリットは、ヒットする確率が上がることです。
事前にターゲットとなる消費者のニーズを徹底的に調べて、商品を作り上げます。
ターゲットとなる消費者にリリースすれば、当然売れることになります。
デメリットとしては、大量生産するほどのマーケットを確保しづらいため極限までの売上追求が難しいことになります。
マスマーケットを相手にすればするほど、必ず欲しいというニッチなニーズから離れていきます。
つまり、大多数のニーズをまんべんなく満たすことが出来る商品とは、多くの不満も内包しているわけです。
マーケットインの事例は?
マーケットインで商品作りをしているのは、ライザップが有名ではないでしょうか。
ダイエットニーズはさまざまな形がありますが、そのニーズを特定するためにリサーチをして、「短期間で楽に痩せたい」というニーズを発掘し、商品をヒットさせました。
もちろん、広告も大々的に打っているので、プロモーションの結果もあるでしょうが、市場のニーズから訴求ポイントを設定して、ピンポイントで告知をしています。
カップラーメンの商品開発も、マーケットインが強い領域です。
有名店とのコラボでカップラーメンを作るのは、すでに市場に存在しているニーズ(人気)をあてにしています。
激辛焼きそばなども、辛いものを食べたいという根強いニーズからの商品開発・販売です。
副業や個人起業ではどっちを採用すべき?
個人で副業や起業をする場合、資金力がありませんから、必然的にマーケットインで商品展開を考える必要があります。
せっかく時間とお金をかけて作り上げたサービスや商品があったとしても、売れなければ何もなりません。
自分の思い込みでこれはいける、と商品作りを先走ったところで売れる保証は1ミリもないでしょう。
売れないと心がへこみます。
そうならないためにも、個人起業家はマーケットインで事業を立上げるのが最善の戦略となります。
では具体的にはどう進めるべきでしょうか?
個人起業家から見た戦略のメリットデメリット
ここではプロダクトアウトとマーケットインとで、個人起業家が採るべき戦略については、そのメリットデメリットを見ていきます。
プロダクトアウトの場合、個人起業家の頭の中はこんな感じではないでしょうか?
・自分はこういうスキルがあるから、こういった商品を作りたい!(または作れる)
・このアイデアは斬新だから、売れるはず!
プロダクトアウトのメリットとしては、自分の強みを使ってすぐに商品を作り上げることが出来ます。
デメリットとしては、その商品は果たして市場があるのか、です。
上述の頭の中の声から行動せずに、マーケットインで起業するメリットとデメリットはこうなります。
メリットは、見込み客の声を聞きながら商品を作り上げるので、売れる確率が高くなります。
ファーストキャッシュを得るリードタイムが、とても短くなることで、資金力がつきます。
また、ビジネスの自信にも繋がります。
デメリットは、商品作りの説きに見込み客が必要なことです。
自分が作ろうとしている商品・サービスについて、ニーズのない人にアンケートをとっても本音は引き出せません。
本音の部分での欲求とか願望がなければ、商品・サービスに反映させることは出来ません。
そのために、自分と繋がっている見込み客リストが必要です。
個人起業家はマーケットインがいい
個人起業家は、資金力に乏しく、また売上が早くに上がらないと挫折しやすいです。
副業でも同じですが、副業の場合は本業がある分、まだ我慢が効くでしょう。
起業すぐにスタートダッシュするのであれば、下記の戦略を採ることが重要です。
- 起業前からオウンドメディアを持って、見込み客リストを取得する
- 見込み客にヒアリングやアンケートを行って、求められる商品・サービスを作る
- 起業後に、その商品・サービスをリリースしてファーストキャッシュを得る
副業や起業前に、オウンドメディアを育てて、見込み客にリーチするようにビジネスのフレームワークを作っていくのがファーストキャッシュの近道です。