マーケティングを勉強していると、戦略という言葉が出てきます。
では、戦略というのは具体的になんでしょうか?
と問いかけて何人の人がしっかり答えられるのか疑問です。
何気なく使っている戦略という言葉ですが、戦術との違いはなんですか?
そもそもなんで戦略という言葉を使うんでしょうか?
ということで、そもそも戦略ってどんな意味なのか、見ていきましょう。
戦略とはそもそもなんなのか?
戦略という言葉は、もともとは軍隊用語です。
ゲームで大戦略というのを聞いたことがあるでしょうか?
他国を攻めるのに、どうやって作戦を立てて、どう実行するのか、というのが基本です。
ただ、それだけではないんです。
戦略というのはもっと深いものなんです。
戦争というのはお金がかかるので、そう易々と出来るものではありません。
だからこそ、やるなら一気に終結させるくらいの打撃を加えて、早期停戦、あるいは勝利を勝ち取らなくてはいけません。
そのためには、入念に下記のことをしなくてはなりません。
彼我の力の差を認識する
まずもって、自分と相手の力の差、持っているもの、この場合は武力などを分析します。
これを軍事的に言うと「彼我の力の差を認識する」となります。
会社でも同じです。
競合他社の持っているもの、強み、弱み、を徹底的に分析しますよね。
自社が勝てるモノを見つけて、その強みを伸ばし、相手が市場に入ってこれないようにする戦いです。
彼我の力の差を認識するのは、戦略を立てる上で欠かすことの出来ない分析です。
マーケティング的には3C分析やSWOT分析、Five Forces分析が、彼我の力の差を分析するツールとなります。
この分析により、自己のリソースが分かります。
自己のリソースを認識する
自己のリソースが認識できないと、そもそも戦う準備が出来ません。
資源はあるのか、石油は何ヶ月の備蓄があるのか、弾薬は充足しているのか、艦船や戦車の製造は何ヶ月で出来るのか、などリソースというのは戦うために必要な資源を持っているかということです。
軍隊においても、空軍、陸軍、海軍、どの戦力が大きいのか、3軍のうち、どれが強いのかもリソースといえます。
アメリカ軍は海洋国家なので、海軍が強いです。
ロシアは大陸国家なので、陸軍が強いです。
イギリスは海洋国家なので、海軍に力を入れています。
日本も海洋国家なので、海上自衛隊に力を入れています。
資金は有限なので、どこに力を入れて増強しているのか、これは国家の存続戦略に基づいて決めています。
このリソースがどのようなものであり、どんな感じで存在していて、どう活用できるのか、を分析することがとても重要です。
優位性のあるリソースを認識して、それを最大限活用するとどうなるか、次を見てみましょう。
優位性のあるリソースを最大限活用する
そのリソースが他に比べて優位性があるのか。
その優位性の強さは、一過性なのか、それともそう簡単には超越されないものなのか。
仮に、他国から見て、我が国のリソースが優位性が強ければ強いほど、その優位性を基軸とした戦略を立案するべきです。
日本は海上自衛隊の戦力は周辺国よりも強く、また対潜水艦探知能力(対潜能力)もかなりのレベルなので、海上戦力を基軸に防衛戦略を組んでいます。
このように優位性の強いリソースがあって初めて、相手に対して優位なポジションを確保できます。
そしてそのリソースを使って、勝利を勝ち取っていくのですが、その勝利を定義することを戦略目標といいます。
戦略目標の立て方
企業の競争も国家間の戦争も、勝利を得るためにその勝利を定義します。
どのような勝利であれば、戦いに勝ったと言えるのか、その定義された勝利を戦略目標と言います。
全面勝利だけが勝ちではありません。
相手の国を木っ端みじんに破壊して殲滅することが勝利でしょうか?
そうなれば、荒廃した土地しか手に入りません。
戦略勝利とは、相手のリソースを残したまま、相手を降伏させるのが最高の勝利です。
なぜならそのリソースを接収することで、自国のリソースとすることが出来るからです。
企業間の競争では、市場を100%占有することはできないので、殲滅戦はできません。
しかし、戦略的買収を行うことで競合企業を合法的に接収することは可能です。
また、マーケットシェアを50%以上抑える、といのも戦略目標になります。
自社の強み、リソースを活用して、市場での競争優位を圧倒的に確立するために達成すべき目標はなんなのか?
この視点を使って戦略目標を立てます。
また、目標達成のために行動するには、目的が必要です。
目的があって初めて、目標が意味を成します。
それを実行する目的は?
戦略目標を達成するための目的はなんでしょうか?
日本は他国の侵略を跳ねのけるために、専守防衛という目的を持って、戦力を作っています。
専守防衛の目的のために、対潜能力の拡充を行い、海上での侵略阻止を戦略目標としています。
侵略を海上で阻止すれば、戦略目標を達成することになり、専守防衛の目的を果たすことになります。
企業もまた、マーケットシェアを50%確保することを目的に、その目的に沿って戦略目標を立てます。
コンサル営業を充実させて毎月50回顧客訪問することを戦略目標として掲げ、マーケットシェア50%確保という目的を達成する、といったことになります。
もちろん、リソースとしてコンサル営業に強みがある上での、戦略目標立案となります。
戦術目標が決まったら、戦術を策定する
戦略目標が決まったら、次はその目標を達成するべき戦術を決めます。
戦術とは、作戦です。
これは同時にいくつかの作戦を立てて、同時的、あるいは波状的に実行していきます。
戦術は、リソースに依拠して立てなくてはなりません。
逆にリソースがないのに戦術は立てられません。
日本は海上戦力とそれをサポートする航空戦力がリソースです。
ですからおのずと海上戦力と航空戦力をミックスした戦術を立案して、戦略目標を達成します。
自社のリソースが人的営業力であれば、とにかく訪問訪問で戦略目標の月50回訪問を達成します。
もちろん、50回訪問しただけでは注文は取れませんから、同時に成約率を高めるためのセールスリードを充実させることも戦略目標となります。
目標が達成されたら勝ち判定
目標が達成されて初めて、勝ち判定となります。
必ずしも相手を殲滅する必要はなく、相手が自分の土俵に入ってこない、あるいは戦う意志を無くす状態に持っていけば良いわけです。
戦略を立てて実行するということは、この状態に持っていくことが最終目標となります。
その証拠として、マーケットシェア50%が達成されたり、利益率が向上したり、という結果がついてきます。
戦略と戦術を明確に分ける
戦略はリソースをもとに戦略目標を達成するに足る戦術を立案すること、が戦略の定義です。
自社の強みとリソースを活用するので、4つの作戦のうち、1と2の作戦はとても手厚く実行できて、でも、3はそこそこ、4は他者よりも劣る、という偏りはどうしても出てきます。
その偏りを克服する戦術ミックスをどう考えるのかが、戦略ということになります。
戦術はあくまでも、個々のフィールドにおける戦い方、戦うための作戦のことを言います。
マーケティングにおける戦略というのは、自社のリソースを用いて、強みを活かしたプロモーションをしてくことにあります。