マズローの5段階欲求説の解説自体は、他のウェブサイトでもたくさんされています。
ということで詳細な説明はここでは控えめにしておきます。
ただ、マーケティングを勉強しているとマズローの理論が出てきます。
その時に、知識として知っていることと、マーケティングにどう落とし込んでいくのか、というのは違うので、ここではマーケティングへの落とし込みについて解説していきます。
理論を実際のマーケティングに落とし込む
マズローの5段階欲求説は、それぞれの欲求段階が満たされると、その上の欲求に移行するとされています。
よって、生理的欲求が満たされると、その上の安全欲求に移行して、同時に生理的欲求に属さないとされています。
ただし、その後の心理学での実験などで、上の欲求段階に上がったとしてもその下の欲求段階にも属する同時性や重層性などが指摘されているようです。
とはいえ、3つ4つの欲求を同時に満たすことはないと言えます。
承認欲求にある人が、生理的欲求に満たされていないということは考えられないのがその理由です。
日々の食事の確保もままならない人が、社会的地位を得て、人から承認されたいと欲する環境がありますか?ということです。
では、マズローの各欲求段階がマーケティング的にどのような意味を持ち、どのような施策を考え、実行すべきなのかを見ていきましょう。
マズローの5段階欲求とマーケティング
マズローの5段階欲求をもとに、商品やサービスのターゲット層を見ていくことがとても重要です。
また、自分の商品やサービスが、どの欲求を満たすものなのか、という視点も大切です。
生理的欲求のマーケティング
生理的欲求は、生存に関する欲求です。
ご飯が食べられるか、生きていくのに必要なお金があるか、死なないか、などの欲求が満たされていない段階です。
ここをターゲットにする商品やサービスであれば、生存に関して安心を訴求していく必要があります。
ただ正直、この欲求段階については所得が十分にある層には思えません。
なぜなら、普通に働いていてお給料をある程度得ていれば、この欲求は満たされるからです。
この層に販売していく商品やサービスは高単価で販売するのは難しいかもしれません。
食事や睡眠にひっ迫している人が、十分なお金を持っているとは考えられないからです。
安全欲求のマーケティング
安全欲求は、生存する上で衣食住が継続して満たされる段階です。
最低限の所得だとしても、住むところがあり、1日3食の食事がとれるかどうかの層です。
衣食住が持続的に確保できるのであれば、この欲求段階は満たされます。
また、衣食住を満たすための商品やサービスを提供していけば、この欲求段階の人たちへの訴求は可能です。
安全を確保することをテーマに、マーケティングを組んでいく戦略が必要となります。
殺虫剤のCMなどでは、害虫によって日々の生活が脅かされているのであれば、その害虫を取り除くことで素晴らしい住環境が手に入る、しかも簡単に害虫駆除ができると訴求すれば、商品が売れるマーケティングになります。
社会的欲求のマーケティング
社会的欲求は、家族や会社といった集団に帰属して安心感を得たり、愛を感じたり、仲間であることに安心を欲する欲求段階です。
この欲求段階の人は、自分が属している集団に満足を覚えていないため、例えば趣味の集まりに帰属意識や安心感を求めます。
自分が受入れられているんだ、という場を提供することを目的とした商品やサービスを提供する個で、収益が上がります。
転職活動でも、自分が今いる会社では帰属意識や安心感、仕事の満足を得られないためそこから出たい、自分の能力を認めてくれるあるいは発揮できる新しい会社に属したいという欲求が根本にあります。
マーケティング的には、自分が役に立てて、周りから必要とされる人間として新しい職場を紹介しますよ、とゴールを提示できる転職エージェントは、この層をうまく取り入れることができるでしょう。
他にも、趣味のイベントなどでも「あなたがいるべき場所はここ」です、とアピールすることで集客がスムーズにいくでしょう。
人間は帰属意識の強い社会的動物です。
常に自分が安心して所属できる集団を探しています。
孤独を好む人も中にはいますが、大多数の人はそうはいっても帰属意識が強いです。
マーケティングで意識するのは、商品やサービスがその人の属する集団を形成して、一定の地位を与えるということを認識させることになります。
承認欲求のマーケティング
会社や公的な集まりなどの集団に属していて、なおかつ、自分を認めて欲しいという欲求段階です。
自分のスキルや知識、地位などを認めて欲しいために、ブランド品などを身に付けて、ステータスを誇示するのもこの欲求段階です。
承認欲求段階の人へ向けた商品やサービスを作り、承認欲求を満たすようにマーケティングをかけていけば、高額商品も売れていきます。
ただし、商品やサービスは、ブランドイメージとして確立されている人があります。
なぜなら、その商品を所有していたり、サービスを利用していることが、その人の社会的地位を証明する必要があるためです。
例えば、ロレックスは身に付けているだけで、お金があるとアピールすることが出来ます。
タワーマンションに住むことで、成功者に近いステータスを誇示することに繋がります。
自己実現の欲求のマーケティング
自己実現は最上位の欲求段階で、お金持ちになった成功者など、社会的に自分の目標を達成した人が、例えばお金以外での成功を目指す段階です。
社会貢献やボランティアなどに精を出すのも、この段階になります。
金銭的には満たされて、お金の欲求が昇華してしまい買いたいものが特になかったりお金を使う目的が無くなったり、どこか虚しさを感じるようになります。
その証拠に、金銭的に豊かさを幸せを感じるのが80万円が一つのラインで、それ以上になっても比例して幸福度が増していかないという研究がありました。
自己実現は、お金で買えないモノに満たされたいという願望や欲求となります。
この欲求段階の人は、お金の価値を知っています。
お金で買えないものに価値を見いだします。
商品やサービスが、お金で買えない価値を提供できるか、がマーケティングの鍵になります。
マーケティングは心理学の理解が必要
マーケティングは、見込み客に購買行動を起こしてもらうための一連のプロセスです。
集客、商品紹介、商品販売、決済、アフターフォローの各プロセスごとに、人の行動心理に基づいた仕掛けを設置します。
行動心理学や行動経済学など、人がなぜそう動くのか、ということを分析した学問も必要になります。
心理学というと、とっつきにくくて専門的な感じがしますが、マーケティング関連の書籍には心理学に基づいた解説もあるので、まずはマーケティングの書籍を読み進めてみましょう。
マーケティングを概念で捉えて、実践に落とし込む
マーケティングの本を読むと、概念的な説明で理解が出来ないところもあるかもしれません。
とはいえ、普通は事例も載っていますから、その事例をひも解きながら、概念を理解していけるのが実学のありがたいところです。
MBAで学ぶマーケティングのケースは、往々にして大企業のケースが多いです。
マクドナルドとバーガーキングのマーケティング比較や、トヨタ自動車のマーケティングなど、内容的には面白いのですが、個人起業家が取り入れるには、資金的にも規模的にも無理です。
個人起業家や中小企業にはそれに適したマーケティングがあります。
またB to BやB to Cのマーケティングも違います。
まずは自分が必要としているプロセスを抜き出して、その部分に必要なマーケティングを学んでいくのが収益を得る近道です。