ガールズ&パンツアーを見ていると、マーケティングセオリーの神髄を見る思いです。
別にアニメオタクではありませんが、このアニメはスゴイです。
艦これも同じですが、日本のアニメ業界というは本当面白い事をします。
ちなみに中国語訳は「少女と戦車」となっていました。
さて、ガールズパンツァーの何が凄いのか、をマーケティング側面から考えてみました。
マーケティングで言うところのターゲティングについて見てみましょう。
ガールズパンツァーを作った人は戦車オタク?
戦車というは、ミリオタ、つまり軍事お立から言うと市場の狭く深いセグメントになります。
航空機や艦船は割と大きな市場となりそうですが、戦車というのはあまり情報として出てきません。
余談ですが、戦車以上に情報がないのが潜水艦で、これは超戦術兵器なので戦い方や兵装についてはあまり公開されていません。
さて、戦車だけでアニメを作った場合は、市場となるのはミリオタ男子がほとんどでしょう。
戦車に女子を組合せて、可愛い女の子たちが戦車を操るというストーリーを作り上げました。
これによって、セグメントがミリオタ男子から、「ミリオタ男子+アニオタ男子女子」へ拡充しました。
狭いセグメントであるはずのテーマが、一気にその周辺セグメントを巻き込んで、大きな市場を取る戦略です。
一粒で二度美味しい、戦略となっています。
ガールズパンツァーを作った人は戦車オタクなのでしょうが、アニメ業界にいたからこそ裾野を広げる組合せを達成できたんだと考えます。
オタク市場をコモディティ市場に引きずり出した戦略
オタク市場であるアニメやミリタリーを、可愛い女の子たちを絡める事で、狭くて深い市場から広く市場をドミナントしました。
戦車という極狭量な特定のトピックをコモディティ市場へ展開したことは、日本のアニメの商品化プロセスが柔軟である証拠です。
ターゲット年齢層も、第二次世界大戦の戦車をセレクトする事で、50代40代にアプローチするだけでなく、女子が主人公という事で10代女子もターゲットとしています。
戦車を横軸として、年齢を縦軸と考えると、そのカバレッジの広さがイメージできると思います。
オタクの知識を大衆化した
第二次世界大戦当時の戦車というマニアックな知識を、女子を活躍させる事で大衆化させたのは素晴らしいアイデアです。
知識を大衆化させるということは、マニアな知識を平準化させて、誰でも分かりやすいものに落し込むことです。
マニアックな香りは残しつつ、誰でも分かるようにストーリー展開させる事で、見る人全てが没入感を持ってのめり込みます。
セグメントどころじゃない市場の遷移
マーケティング理論では、ターゲットを絞る事で市場の占有と利益の最大化がなされる事になっています。
ひるがえって、ガールズパンツァーはセグメントを狭める事なく、セグメンテーションのセオリーを逆展開した結果、市場そのものを遷移させて、より大きな市場を掴みに行っています。
ミリタリーアニメを、可愛いアニメに変換したことで、より大きな市場へと遷移させている思考プロセスは、マーケティングの教科書に載せても良いのではないでしょうか?
顧客数を最大化させる戦略
ミリオタ男子、アニメオタクの男子女子、年齢層の重層化による50代40代の巻き込み、そもそものアニメターゲットである10代20代が市場となっているのは、まさに顧客の最大化戦略そのものです。
ハードボイルドのアニメにしてしまった場合、そのターゲットとなるのは特定セグメントです。
ガールズパンツァーの戦車に関する知識は充分ハードボイルドアニメにも堪えうる高いレベルですが、それをあえて女子を主役としているところがスゴイの一言しかありません。
オタク市場は面白い
オタク市場は、狭く深いものですが、日本人はそれをコモディティ化する事で一般人にも楽しめる作品を生み出しています。
ガールズパンツァーは、会社員が独立起業や副業をする上で、マーケティング戦略がとても役に立つ作品です。
ストーリーはとても楽しいのですが、その辺縁にある作品作りにおけるプロセスに想像を馳せると、とても面白い示唆が得られるのではないでしょうか?