実は、人生でつらい時期があって、知り合いからちょうど紹介されたのが「運転者」(喜多川泰著)でした。
小説として書かれている本書ですが、だいたい3時間ほどで読了しました。
あなたは運が良いですか?
保険営業をしている岡田修一の運のなさ、仕事の行き詰まりが書かれている本書。
年齢は40代で、ちょうど我々世代と状況がかぶる所で、感情移入がされやすく、ぐいぐいストーリーに引き込まれます。
仕事でもついていない、家庭も100%うまくいっているわけではない、自分は運が悪いと思ってしまう。
なんだか自分にかぶる所があるようで、思わず自分に置き換えて読み進めてしまいます。
「あなたは運が良いですか?」
こう問いかけられて、「自分は運が悪い」と思っているようだと本書を読む価値があります。
もちろん、運が良いと思っている人でも、自分の運の良さを再確認できるので、読む価値はあります。
正直、失職する瀬戸際で読んだので、心が救われました。
4回ほど繰り返し繰り返し読みました。
それほどこの本には助けられました。
運の本質
最初に答えを書くと、運というのは「自分の心の持ちよう」です。
運が良いとか悪いとか、それを決めるのは自分自身です。
自分のみに起きた事件や事故は、あくまでも事実でしかありません。
仕事で段取りと違ったことが起きて、お客さんが怒ってしまった、としましょう。
怒っているのは事実ですが、その事実を目の前にして「こんなことが起きて、自分は運が悪い」と思うのは自分です。
逆に、「こんなことが起きて大変だけど、これを解決してうまくいったら、大きなチャンスになるかもしれない。」と前向きに捉えると、起きてしまったことに対して運が悪いとか良いとか考えることはありません。
むしろ、解決できたら大きな経験にもなる、と思って、こんな経験ができるのは、自分は運が良い、と捉えるでしょう。
運が良い悪いは、自分の心が決めるのです。
その心のあり方は、全てのことに対して他責とするか自責とするか、で決まってきます。
他責と自責
起きてしまったことの直接のトリガーは、自分以外のことかもしれません。
例えば、交通事故を考えてみましょう。
歩道を歩いていただけなのに、車が突っ込んできてケガをしてしまった、というのはもらい事故で自分の責任ではないでしょう。
でも、その事故の責任をずっと相手のせいにして憎んだとしても、何も変わらないと思いませんか?
金銭的な賠償があっても、重度の後遺症が残ってしまったら、やはり相手への憎しみなんかは消えないと想像できます。
そういう状況にあっても、憎んでいれば苦しいのは自分であって、ひとまず相手に対する感情は横において、事故に遭ってしまったのは自分の運命なんだと思えば、自分の責任として考えることができます。
自分の責任を責めたところで、これも心は苦しいままだし、事態も好転しません。
こうなる運命だったんだ、と受入れて、自分の運命は自分の責任と思ったとしても、自分を許すことは他人を許すことよりもはるかに簡単です。
そうなることで心が軽くなって、全ての事柄に対して自分の心をポジティブに持っていくことができます。
常に上機嫌
人生で幸運をつかむためには、常に上機嫌でいないとダメですよ、と本書で言っています。
不機嫌であれば、せっかくのチャンスもつかめないし、運が人とのつながりから出てくるのであれば、なおさら不機嫌な人には良い話しが来ません。
何か悪いことが起きても、常に上機嫌を意識して、笑顔で接すると、運がやって来るということです。
仏頂面をしている人に、良い話を持っていきますか?
つまりはそういうことですよね?!
分かっているけど、つい感情が顔に出てしまう。
分かります、多くの人はそうなんだと思います。
ただ、職場や家族など人との関わりがある以上、これからは上機嫌でいたいなと思います。
本書はそういった気持ちにさせる効果があります。
ポイントカード
ポイントカードは、ポイントを貯めてから使う、これ当たり前ですよね。
でも、運のことになると、運をもらうためのポイントを貯めてないのに運をもらおうとします。
良いことないかなぁ、とか、宝くじに当たらないかなぁ、とか。
宝くじを当てるための徳を積む、というのは聞いたことはないので、徳を積んだところで宝くじで10億円あたることは連動していないとは思いますが、良いことが起こるには、たいていの場合、徳を積んでいるかどうかだと思います。
つまり、徳を積む、ポイントを貯める、そしてそのポイントを使う。
ポイントは運です。
だから損得勘定を金銭的な報酬として考えるのではなく、損得勘定を運の蓄積と考えればいいのではないかと思います。
これをやったら運が貯まって、いずれは自分に返ってくると期待して、良いことをやるのは別にいやらしいことでもなんでもないと思います。
全ての努力は報われるか?
全ての努力は報われるのか、と問われてどう答えますか?
本書の答えはこれです。
長い目で見たら、報われない努力なんてありません。
あまりにも短い期間の努力で結果が出ることを期待しすぎているだけです。
思い当たることはありませんか?
例えば副業をしていて、今日や昨日の作業がすぐに結果として現れますか?
それはないでしょう?
受験勉強だって、数ヶ月の勉強で模試の結果が劇的に向上するなんてあまりないですよね?
結果が出るまでには、自分の期待する期間以上に時間がかかるんです。
努力が報われない状況というのは、結果が出ない状況となると思うけど、でも長期で見たら努力をしたことは将来二転と点で結ばれるかもしれない。
過去にやっていたことが、今の仕事に役に立つって事はありませんか?
これを読んですぐに人生はすぐに好転するか?
人生ピンチに陥っている人は、本書を手に取ってください。
でも、これを読んですぐに人生が好転するって事はありません。
ピンチは、今のこの瞬間でピンチに変わりはないでしょう。
じゃ、なんで読むのか?
それは心の持ち方を学ぶためです。
今起きているピンチをどう捉えるのか、そのピンチが起こっている時には、自分の人生にとってそのピンチがプラスかマイナスかは分かりません。
少なくともいつかきっと、振り返った時にこのつらい経験があったおかげで今がある、と思えるようにすることが大切だと思います。
または、このつらい経験は、今の状況を作るために必然的に起こったイベントだったんだ、と思うようにすることが大事なんだと思います。
人生のピンチを迎えている人に、ぜひオススメしたい一冊です。
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